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 トップ相続の解説





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第1 用語集

相続関係者

(1) 相続人とは?

相続財産を民法上取得できる地位にある人のこと。被相続人の配偶者、子、父母、兄弟姉妹などがある。

(2) 被相続人とは?

相続における亡くなった人のこと

(3) 代襲相続人とは?

被相続人死亡時において既に亡くなっている相続人がいる場合、その相続人の代わりに相続財産を取得できる地位にある人のこと。被相続人の孫や被相続人の兄弟姉妹の子が代襲相続人になる資格がある。

(4) 相続証明とは?

相続人であることを戸籍上で証明すること。被相続人の除籍謄本、改正原戸籍、相続人の戸籍などによって証明する。

(5) 相続人の欠格事由とは?

遺言書を偽造したり、詐欺・脅迫によって被相続人に遺言をさせるなど法定の事由にあたる行為をした者は相続人にはなれないこと

(6) 排除とは?

被相続人に対して虐待をしたなどの著しい非行があった相続人を相続人ではなくさせる手続きのこと。被相続人の請求や遺言によって家庭裁判所が行う。

(7) 遺言執行者とは?

相続財産の管理など遺言内容の実現に必要な行為をすることができる者のこと。被相続人が遺言によって選任するか又は家庭裁判所によって選任される必要がある。


遺産関係

(1) 相続財産(遺産)とは?

被相続人が生前有していた財産、負債。不動産、預金、現金などの財産のほか、借金なども相続財産に含まれる

(2) 法定相続分とは?

相続人が複数いる場合に、相続財産を相続人間で分ける際の民法上の基準

(3) 相続の単純承認とは?

相続人が相続財産を取得することを承認すること。この場合は特に必要な行為はない。負債よりも財産の方が多い場合に行われる。

(4) 相続の放棄とは?

相続人が相続財産を一切取得しないことを家庭裁判所に届け出ること。負債の方が明らかに多い場合に行われる。被相続人が死亡したことを知ったときから3か月以内に行う必要がある。

(5) 相続の限定承認とは?

相続人が相続財産の範囲内で負債を返済するという条件付きで相続の承認をすること。相続人が複数いる場合は全員で家庭裁判所に届け出なければならない。被相続人が死亡したことを知ったときから3か月以内に行う必要がある。税務上の不利益を受ける恐れがあるので税理士に相談して行うのがよい。

(6) 遺留分とは?

被相続人によって遺贈や生前贈与が行われて相続財産が減少しても、一定割合で相続財産を取り戻すことができる相続人の権利のこと。被相続人の兄弟姉妹以外の相続人に認められる。例えば、遺言に「全ての遺産を長男甲に相続させる。」という記載があっても、次男乙は遺留分だけは遺産を取得できる。

(7) 寄与分とは?

相続人の中に被相続人の財産の維持又は増加について特別の貢献をした者がいる場合、その者の相続分を増やすことができること。

(8) 特別受益とは?

相続人の中に被相続人から生前贈与や遺贈を受けた者がいる場合に、その者の相続分を減らすことができること。


遺言関係

(1) 遺言とは?

被相続人が相続財産の処分その他についての意思を表した法定の様式に従って作成する文書のこと。

(2) 検認とは?

家庭裁判所が相続人立会いの下で、遺言書の保存を確実にして後日の変造や隠匿を防ぐために、遺言書の形状を確認すること。公正証書以外の遺言の保管者は、相続の開始を知った後直ちに検認を求めなければならない。


遺産分割関係

(1) 遺産分割とは?

相続財産を相続人間で分ける手続きのこと。相続人間での話し合いによって遺産分割協議書を作成するか、家庭裁判所による遺産分割調停、審判によって行われる。

(2) 遺産分割協議書とは?   

相続人間で遺産分割方法について話がまとまったときに、相続人間で作成する遺産分割合意書のこと。誰がどの相続財産を取得するのかを記載し、相続人全員が署名押印(実印)する。

(3) 調停手続とは?   

相続人間で遺産分割について話がまとまらないときに、家庭裁判所において、調停委員2人の関与のもとで話し合いをする手続きのこと。調停手続での話し合いは、調停委員を通して行われるため、相手方と顔を合わせることなく話し合いができる。

(4) 審判手続とは?   

調停手続でも話し合いがまとまらない場合などに、家庭裁判所において、審判官の審判(判断)によって遺産分割が行われる手続きのこと。審判官の判断によって遺産分割手続が行われるため、相続人間で話し合いがまとまらない場合でも遺産分割が行える。

(5) 現物分割とは?

遺産分割方法の一種であり、遺産をあるがままの姿で各相続人に分割すること。例えば、「相続人甲にはA土地を、相続人乙にはB土地を、相続人丙には預貯金を取得させる。」というような分割方法である。

(6) 代償分割とは?

ある相続人に遺産の全部ないし大半を取得させ、その相続人が他の相続人に遺産に代わる現金を支払うことによって遺産分割を行うこと。例えば、遺産が土地建物しかない場合に、「相続人甲には土地建物を取得させ、相続人甲は相続人乙に対し現金1500万円を支払う。」というような分割方法である。

(7) 換価分割とは?

遺産を処分して、その対価を相続人間で分配すること。例えば、遺産分割前に相続人全員の合意で不動産を売却し、その代金を相続分に従って分配するというような分割方法である。

(8) 遺贈とは?

遺言によって自らの財産を無償で他人に与えること。例えば、遺言に「土地は友人Aに譲る。」、「預貯金は全て相続人Bに相続させる。」などと記載されている場合である。


その他

(1) 相続税とは?

相続や遺贈により財産を取得した個人に課される税金のこと。相続や遺贈により財産を取得した個人全てに課税されるわけではなく、一定額以上の財産を取得することになる者だけに課される税金である。日本において相続税が課される割合は、相続や遺贈により財産を取得した者の5%程度にすぎず、大半の者は相続税を支払う必要がない。

(2) 遺言信託とは?   

遺言者の死後、遺産を一定の者(受託者)に信託し、受託者が管理・運用した遺産を受益者に交付すること。例えば、財産を取得させようとする子供に対して定期的に一定額の学資金を支給する場合(学資金信託)、高齢の配偶者や病弱な子供の生活のために一定額の生活費を支給する場合(生活扶助信託)などがある。


第2 相続に関する知識

1 相続人の範囲は?

(1) 被相続人の配偶者、子

常に相続人になる。

(2) 被相続人の直系尊属(父母など)

被相続人に子がいなければ相続人になる。但し、父と祖父がいる場合など親等の異なる者がいる場合は、被相続人と親等が近い者のみが相続人となる。

(3) 被相続人の兄弟姉妹

被相続人に子・直系尊属がいなければ相続人になる。

(4) 被相続人の孫     

被相続人の子が相続時に既に亡くなっていれば、代襲相続人として相続人になれる。ひ孫なども同様。

(5) 被相続人の甥・姪

被相続人の兄弟姉妹が相続時に既に亡くなっていれば、代襲相続人として相続人になれる。

2 法定相続分は?   

(1) 配偶者と子が相続人の場合    

配偶者は2分の1。子は残り2分の1を子のなかで均等に分ける。但し、非嫡出子の相続分は嫡出子の相続分の2分の1となる。

(2) 配偶者と直系尊属(父母など)が相続人の場合    

配偶者は3分の2。直系尊属は残り3分の1を直系尊属のなかで均等に分ける。

(3) 配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合

配偶者は4分の3。兄弟姉妹は残り4分の1を兄弟姉妹のなかで均等に分ける。但し、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1となる。

3 相続財産の範囲は?   

 被相続人死亡により、被相続人の財産に属した一切の権利義務が相続財産に含まれる。但し、被相続人だけに専属したと考えるのが妥当な権利義務は含まれない。

 そのため、被相続人が所有していた不動産、動産、債権、賃借権、損害賠償請求権(慰謝料など)や金銭債務、保証債務も相続財産に含まれる。他方、生命保険金や身元保証債務は相続財産には含まれないと考えられている。

4 特別受益の計算方法は?   

 共同相続人中に特別受益を受けた者がいる場合は、以下の計算式によって各自の相続分を決める。

@  (被相続人が相続開始時に有していた財産)+(特別受益の価額)=(相続財産)

A  (相続財産)を各自の相続分によって分割する。

B  特別受益を受けた者の場合

(Aによって計算された自分の相続分の価額)−(自分が受けた特別受益の価額)=(その者の相続額)  

特別受益を受けた者の相続分が計算上マイナスになる場合は、その者の相続額はゼロ。

C  特別受益を受けていない者の場合  

Aによって計算された自分の相続分の価額がその者の相続分となる。  

特別受益を受けた者の相続分が計算上マイナスになることによって、その者の相続額がゼロになる場合は、

(残りの遺産総額)×(各相続人の計算上の相続額)÷(計算上の残りの遺産総額)=(各相続人の相続額)

となる。

5 遺留分の計算方法は?

(1) 相続人全体の遺留分割合

相続人全体の遺留分割合は、@直系尊属のみが相続人である場合には被相続人の財産の3分の1、Aそれ以外の場合には被相続人の財産の2分の1が遺留分として認められる。

(2) 遺留分算定の基礎となる財産の計算

(被相続人が相続開始のときに有していた財産)+(特別受益がある場合はその額)+(被相続人が相続開始前1年間に贈与した財産)+(1年以上前の贈与でも贈与当事者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知って贈与した場合の贈与財産)−(被相続人が相続開始のときに負っていた債務)=(遺留分算定の基礎となる財産)

(3) 各相続人の遺留分額の計算

(遺留分算定の基礎となる財産額)×(相続人全体の遺留分割合)×(各相続人の法定相続分の割合)−(特別受益を受けた相続人はその特別受益額)=(各相続人の遺留分額)

(4) 各相続人の遺留分侵害額の計算

(各相続人の遺留分額)−(特別受益の計算を行った後の各相続人の相続額)+(特別受益を受けた相続人はその特別受益額)−(相続債務の分担額)=(各相続人の遺留分侵害額)

6 遺留分減殺請求の方法は?

 遺留分減殺請求は、通常、各相続人が内容証明郵便によって遺贈を受けた者や贈与を受けた者に対して遺留分減殺請求をする旨の通知をする方法によって行う。遺留分減殺請求の相手方が複数いる場合は、遺留分侵害額に達するまで、まず遺贈を受けた者に対して行い、その後、後に贈与を受けた者から順次前の贈与を受けた者に対して行われる。遺贈を受けた者が複数いる場合は、遺贈の価額の割合に応じて減殺請求をする。  

 なお、遺留分減殺請求は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与・遺贈があったことを知ったときから1年以内に行使しなければならない。遺留分権利者が相続の開始及び減殺すべき贈与・遺贈があったことを知らなくても相続開始時から10年経過すると減殺請求を行うことができなくなる。

7 遺言の方法は?

 遺言は15歳以上の者により民法の規定に従って作成されなければ無効となる。遺言の種類は、@自筆証書遺言、A公正証書遺言、B秘密証書遺言、C死亡の危険が生じたときなどの特別の方式による遺言がある。遺言として効力を有するためには、最低限、自筆証書として、遺言者自身の手によって全文、日付、氏名を自書し押印しなければならない。一つでも要件を欠けば遺言は無効となる。なお、2人以上の者による共同遺言は禁止されている。

8 遺産分割の方法は?

 遺産分割は、相続人全員の話し合いがまとまれば、民法の相続分の規定や遺言の内容には拘束されずに行うことができる。あとは、相続人全員によって遺産分割協議書を作成すればよい。

 相続人全員での話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停ないし審判の申し立てをすることになる。遺産分割調停によって話し合いがまとまれば家庭裁判所によって調停調書が作成される。調停によっては話し合いがまとまらない場合は遺産分割審判の手続きによる。そして、遺言の内容や民法の相続分の規定によって、審判官が遺産分割の審判を行う。

9 相続税の計算方法は?

(1) 相続税は、課税財産が法定の控除額を超える場合に初めて課税される。

課税財産が控除額を超えない場合は相続税は発生しない。

なお、相続税の詳細については税理士に相談する必要がある。

(2) 課税財産    

課税財産の計算は、

(相続財産)+(生命保険金などのみなし財産)−(相続債務・葬式費用)+(相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産)=(課税財産)

という計算式によって行われる。

(3) 基礎控除

基礎控除額の計算は、

5000万円+(法定相続人×1000万円)=(基礎控除額)

という計算式によって行われる。  

なお、その他にも特例控除がある。

(4) 各相続人の相続税額

各相続人の相続税額の計算は、

(課税財産−控除額)×(法定相続分)×(税率)=(各相続人の相続税額)

という計算式によって行われる。

(5) 税率

(課税財産−控除額)×(法定相続分)によって算出される金額によって下記のとおり税率が決まる。
1000万円以下 10%
3000万円以下 15%−50万円
5000万円以下 20%−200万円
1億円以下     30%−700万円
3億円以下     40%−1700万円
3億円超      50%−4700万円